一人っ子の相続税は高くなる?2つの理由と対策を税理士が解説

2026.08.22
30秒でわかる本記事のまとめ
  • 一人っ子の相続は遺産分割で揉めにくい一方、法定相続人が少ないため、基礎控除が小さくなり相続税が高くなりやすい
  • 相続人が1人の場合は課税遺産総額をそのまま税率表に当てはめるため、相続人が複数いる場合より高い税率が適用されやすい
  • 一次相続で配偶者が多く財産を取得すると、二次相続の税負担が大きくなる可能性があるため、一次・二次相続を合わせたシミュレーションが重要
  • 一人っ子の家庭では、生前贈与や生命保険などの対策を早めに検討することが大切
  • 「一人っ子の場合、相続税がいくらかかるのか知りたい」「二次相続まで含めて対策したい」という方は、相続専門の税理士法人NCPの無料相談へお問い合わせください

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越阪部 洋之(おさかべ ひろゆき) この記事の監修者

【監修者】越阪部 洋之(おさかべ ひろゆき)

税理士法人NCP 代表社員税理士・行政書士

新日本アーンスト・アンド・ヤング税理士法人(現EY税理士法人)を経て、税理士法人レガシィ、OAG税理士法人にて相続税実務を経験。その後、NCP越阪部税理士事務所を設立し、法人化。相続税専門歴15年以上、個人申告件数1,400件以上。複雑な相続案件・税務調査対応にも豊富な実績を持つ。累計受託件数125,000件以上・累計相談件数400,000件以上の実績を持つNCPグループにおいて、相続税申告業務に携わる。

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※この記事は、相続税申告や相続手続きに関する正確な情報を必要とされている方に向けて、税理士法人NCP代表社員税理士・越阪部 洋之が記事品質を監修し、作成しております。また、当コラムは弊社独自のコンテンツ制作・編集ポリシーに沿って制作されています。

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話者プロフィール

越阪部 洋之(税理士法人NCP 代表社員税理士)
相続専門の税理士として16年以上、相続税の申告件数は1,500件超え。BIG4税理士法人や大手相続専門税理士法人を経て、税理士法人NCPを設立。「最適かつ最高のサービスを、相続に関わる全ての人へ」をミッションに掲げ、士業を「サービス業」と位置付けた気軽に相談できる相続支援にこだわる。YouTubeチャンネル「相続専門税理士オサカベのホンネTV」では、相続の基礎・対策・実例を本音でわかりやすく発信している。

スタッフ(聞き手)
YouTubeチャンネル「相続専門税理士オサカベのホンネTV」運営スタッフ。相続をこれから学ぶ立場として、視聴者と同じ目線で素朴な疑問を越阪部にぶつけていく。

▼本記事の内容は動画でも解説しています

一人っ子の相続は遺産分割で揉めないが税金面では不利?

スタッフ:今日は一人っ子の相続について聞きたいです。一人っ子なら兄弟姉妹がいないので、相続もシンプルですよね?

越阪部:遺産分割はシンプルです。相続人が1人なら、基本的には財産の分け方で揉めることはありません。ただ、税金には注意が必要です。一人っ子だと、相続人が複数いる場合より相続税が高くなりやすいんです

スタッフ:僕も一人っ子なので、相続税の負担や備えておくべきことを知りたいです。

越阪部:それでは、一人っ子の相続税が高くなりやすい理由と、二次相続まで考えた対策を解説します。

一人っ子の相続税が高くなる2つの理由

理由1. 基礎控除が少ない

スタッフ:一人っ子の相続税が高くなる要因を教えてください。

越阪部:一人っ子の相続で税負担が大きくなりやすい理由は、2つあります。1つ目は、相続税の基礎控除が小さくなることです。相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば、法定相続人が子ども1人なら基礎控除は3,600万円です。子どもが2人なら4,200万円、3人なら4,800万円となります。

スタッフ:相続人が1人増えるごとに、600万円ずつ基礎控除が増えるんですね。

越阪部:財産額が同じでも、一人っ子は基礎控除が少ないため、相続する財産の総額が基礎控除を超えやすくなります。相続財産が基礎控除の範囲内なら原則として申告は不要です。一方、基礎控除を超えると相続税の申告が必要になります。

スタッフ:「もう1人相続人がいれば申告しなくてよかったのに」というケースもありますか?

越阪部:実際にあります。申告が必要になれば、自分で手続きする負担もありますし、税理士へ依頼すれば費用もかかります。

理由2. 高い税率が適用される

スタッフ:2つ目の要因は何ですか?

越阪部:2つ目の理由は、一人っ子の相続では、高い税率が適用されやすくなることです。実は税率の影響の方が大きいと考えています。

スタッフ:高い税率が適用されやすくなるというのはどういうことですか?

越阪部:相続税は、遺産総額から基礎控除を差し引いた「課税遺産総額」を法定相続分で分け、それぞれの金額に税率を適用して計算します。子どもが1人なら法定相続分は100%なので、課税遺産総額をそのまま速算表に当てはめます。一方、子どもが2人なら、課税遺産総額を2分の1ずつに分けた金額で税率を適用します。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

スタッフ:具体的にはどれくらい違うんですか?

越阪部:例えば、財産が1億円あるケースで比較してみましょう。相続人が子ども1人の場合、基礎控除は3,600万円です。1億円から3,600万円を差し引くと、課税遺産総額は6,400万円になります。相続人は1人なので、6,400万円をそのまま相続税の速算表に当てはめると税率は30%です。

スタッフ:相続人が子ども2人の場合はどうなりますか?

越阪部:基礎控除は4,200万円なので、1億円から4,200万円引いた5,800万円が課税遺産総額です。相続人が2人の場合は、5,800万円を法定相続分の2分の1ずつに分けます。1人あたり2,900万円となり、税率15%が適用されます。

スタッフ:税率だけで見ても、30%と15%で倍近く違いますね。

越阪部:税額で言うと、同じ1億円の財産でも、相続人が1人の場合と2人の場合で450万円の差が出ます。新卒のサラリーマンの年収に近い金額です。基礎控除が少なくなる影響もありますが、税額の差を大きくしているのは、適用される税率の違いですね。

一人っ子ほど二次相続を意識したほうがいい

スタッフ:一人っ子の場合、二次相続のことを考えずに一次相続して、あとで損をしてしまうケースは多いでしょうか?

越阪部:多いですね。私たちと面談する前から「一次相続は配偶者が全部取得します」と決めてこられる方もいます。ただ、二次相続まで気にされている方には、二次相続のシミュレーションを組んでご提示しています。シミュレーションでは将来かかる可能性のある相続税を少し高めに見積もっています

スタッフ:少し高めに見積もるのはなぜですか?

越阪部:将来の相続税がどのくらいかかるのか、あらかじめ上限に近い金額を知っておくと安心できるからです。実際には、その後の生活費や医療費などで財産が減り、相続税も下がる可能性があります。

スタッフ:たしかに、「将来相続税がいくらかかるのかわからない」という状態より、ある程度の目安がわかったほうが安心できますね。

越阪部:そのとおりです。相続税のことをずっと不安に感じながら生活するより、「これくらいなら大丈夫そう」と見通しを持っておいたほうがよいでしょう。

一次・二次相続の税額シミュレーション|配偶者20%が最も節税に

スタッフ:具体的な数字でシミュレーションしてもらってもいいですか? 今回は父が亡くなったとします。父の遺産総額が1億5,000万円、母自身の財産は1,000万円というケースでお願いします。

越阪部:わかりました。では、母が一次相続で受け取る財産の割合によって、一次相続と二次相続の合計税額がどう変わるのか比較してみましょう。

配偶者が20%相続すると一次相続・二次相続の合計税額は1,512万円

越阪部:今回の条件では、母が一次相続で20%を受け取るケースが、一次相続と二次相続を合わせた税額を最も抑えられます一次相続と二次相続の合計税額は1,512万円です。ただし、あくまで税金だけを比較した結果です。20%しかもらえないとなると、それだけでは生活していけないという方も多くいらっしゃいます。

スタッフ:生活費や医療費なども考えないといけないということですね。

越阪部:そうなんです。税金だけを考えれば20%が最も低くなりますが、実際にはもう少し多く相続しても問題ありません。その後、生活費や医療費などに使えば、その分二次相続の財産も減り、税額も下がります。

配偶者が100%相続すると一次相続・二次相続の合計税額は3,260万円

スタッフ:母が一次相続で100%受け取った場合はどうなりますか?

越阪部:母が100%相続すると、二次相続の相続税は3,260万円になります。一次相続では、配偶者の税額軽減を使えるため相続税はかかりません。配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続した財産について、1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税がかからない制度です。ただし、一次相続で母が多くの財産を受け取るほど、母の財産が増えるので、二次相続の税負担が大きくなるんです

スタッフ:一次相続では税金がかからなくても、二次相続でかなり大きな負担になるんですね。

配偶者が0%だと一次相続・二次相続の合計税額は1,840万円

スタッフ:配偶者が一切相続しない0%なら、20%相続する場合よりも税金を抑えられるんですか?

越阪部:実は0%の場合、逆に税額は上がります。20%の場合は一次相続と二次相続の合計の相続税額は1,512万円でしたが、0%の場合は1,840万円です。

スタッフ:300万円以上も高くなってしまうんですね。

越阪部:母自身の財産は1,000万円なので、二次相続では基礎控除3,600万円以下となり、相続税はかかりません。一次相続だけで1,840万円かかってしまうんです。

スタッフ:計算してみないとわからないものですね。

越阪部:そうなんです。ただ、この計算はあくまで税金面だけを考慮しています。残された配偶者が今後どれくらい生活資金を必要とするのか、ご家族としてどのように財産を残したいのかを一番大切にしてほしいですね。そのうえで、税額のシミュレーションを判断材料の一つにしていただければと思います。

ご自身の家庭では配偶者がどのくらい財産を取得するのがよいのか、二次相続まで含めた税額をシミュレーションしたい方は、お気軽に税理士法人NCPの無料相談をご利用ください。

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一人っ子の家庭で今からできる2つの相続税対策

スタッフ:一人っ子の家庭で、今からできる相続税対策はありますか?

越阪部:代表的なものとして、生前贈与と生命保険があります。どちらも早めに検討しておきたい対策なので、それぞれ解説していきます。

対策1. 生前贈与で相続財産を減らしておく

越阪部:まず生前贈与から解説します。早い段階から少しずつ財産を移しておくことで、将来の相続財産を減らせる可能性があります。一人っ子の場合、お孫さんがいるかどうかでも変わってきますが、早くやるに越したことはありません。

スタッフ:生前贈与を始めたら、毎年続けないといけないんですか?

越阪部:いいえ。毎年必ず贈与しなければならないわけではありません。むしろ、贈与しすぎて本人の生活資金が足りなくなることのほうが問題です。ご自身の生活に必要なお金を確保したうえで、無理のない範囲で行うことが大切です。早めに生前贈与を始めて、必要に応じて途中で止めても問題ありません。

スタッフ:とにかく早く始めることが大事なんですね。

不動産の生前贈与は慎重に判断する

越阪部:不動産を生前贈与したいという相談も受けますが、私はおすすめしていません

スタッフ:なぜですか?

越阪部:不動産は、生前贈与のほうが相続より税金の負担が大きくなりやすいからです。名義を変える際に登録免許税と不動産取得税がかかりますが、相続より贈与のほうが高くなります。さらに、贈与税は相続税より税率が高くなるケースも多いため、無理に生前贈与する必要はないと考えています。

スタッフ:相続したほうが負担を抑えられるんですね。

越阪部:そうです。不動産を生前贈与したいという方には、まず税金や費用の違いをきちんとお伝えします。そのうえで、どうしても生前に贈与したい事情がある場合は、検討していきます。

対策2. 生命保険金の非課税枠を活用する

越阪部:もう1つの対策は生命保険です。一次相続では亡くなった父親が生命保険に入っていたものの、残された母親自身は生命保険に入っていない、というケースも少なくありません。生命保険の形で受け取れるよう準備しておくことで、相続税の負担を抑えられる可能性があります

スタッフ:生前贈与も生命保険も、実際に自分の家庭ではどうするのがいいのか判断するのが難しそうですね。

越阪部:こうした相続対策は、財産や家族の状況によって判断が変わるので、相続の専門家でないとなかなかわからない部分があります。後悔しないためにも、早めに相続の専門家へ相談していただくとよいでしょう。

一人っ子の相続で、どの対策が自分の家庭に合っているのかわからない方は、お気軽に税理士法人NCPの無料相談をご利用ください。

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まとめ:一人っ子こそ早めのシミュレーションと相談を

一人っ子の相続は、遺産分割で揉めにくい一方で、相続税の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

法定相続人が1人だと基礎控除が少なくなるうえ、課税遺産総額を1人分として計算するため、高い税率が適用されやすくなります

また、一次相続で配偶者が財産を多く取得すると、二次相続の税負担が大きくなる可能性があります。今回のシミュレーションでも、配偶者の取得割合によって一次相続と二次相続の合計税額に大きな差が生じました。

そのため、相続税を考える際は、二次相続まで含めて税額をシミュレーションすることが大切です。あわせて、生前贈与や生命保険など、今からできる対策も早めに検討しておきましょう。

「一人っ子の場合、相続税がいくらかかるのか知りたい」「二次相続まで含めてシミュレーションしたい」という方は、お気軽に税理士法人NCPの無料相談をご利用ください。

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※本記事は、令和7年4月1日現在の法令に基づいて制作されたYouTube動画「【恐怖】一人っ子の相続、この2つをやらないと税金が跳ね上がります」(税理士法人NCP)の内容をもとに作成しています。最新の税制については税理士などの専門家にご確認ください。

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