相続税の納税方法について解説!
2021.12.03どうやって相続税を納めるの?
固定資産税などの税金は、毎年いくら納めてくださいと納付書が送られてきますが、相続税は所得税と同じく申告納税方式がとられており、ご自身で税額を計算し納税を行わなければなりません。今回はどのように相続税を納めなければならないのか、納税方法について解説いたします。
納税方法
現金納付(原則)
原則的な納税方法は現金による一括納付です。金融機関の窓口で納付書を提示し、納付する方法が一般的です。納付書は税務署で入手し、必要事項を記載する必要があります。税理士に相続税申告を依頼している場合には、税理士から必要事項が記載された納付書を受け取ることとなると思います。納付期限は申告期限と同じで、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)から10ヵ月です。納付期限を過ぎてしまうと延滞税がかかりますので期限には注意しましょう。
延納
相続税は金銭一時納付が原則ですが、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、納税の猶予(延納)を受けることができます。延納の申請期限は相続税の申告期限と同じです。延納の申請をするためには、次の要件を全て満たす必要があります。(1)相続税額が10万円を超えること。
(2)金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
(3)延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
(4)延納申請に係る相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
出典:国税庁「No.4214相続税の延納 2延納の要件」
(最終アクセス2021年12月2日)
延納のメリットは何といっても一時に多額の相続税を納めなくてよいことです。しかし、延納期間中は延納税額に利子税がかかってしまいます。また、延納の申請を出したからといって必ずその申請が通るとは限りません。税務署はできるだけ期限内に現金で納付してほしいと考えています。相続人が相続税を納付する日にどのくらいの金融資産を所有しているか、そのうちいくらを納付しても生活や事業に支障がないかを計算しており、その要件が厳しいのが現状です。納税資金に不安があり、延納をご検討の場合は早めに専門家にご相談・ご依頼されることをお勧めいたします。
物納
延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、相続財産による物納が認められています。物納の申請期限は相続税の申告期限と同じです。物納の申請をするためには、次の要件を全て満たす必要があります。(1)延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
(2) 物納申請財産は、納付すべき相続税額の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位(①から⑤の順)で、その所在が日本国内にあること。
【第1順位】
①不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
②不動産及び上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
【第2順位】
③非上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
④非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
【第3順位】
⑤動産
(注)
・後順位の財産は、税務署長が特別の事情があると認める場合及び先順位の財産に適当な価額のものがない場合に限って物納に充てることができます。
・特定登録美術品(美術品の美術館における公開の促進に関する法律第2条第3号に規定する登録美術品で相続開始の時において既に登録を受けているものをいいます。)については、上記の順序にかかわらず一定の書類を提出することにより物納に充てることができます。
(3) 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。
(注)
・自然公園法の国立公園特別保護地区等内の土地で平成26年3月31日までに環境大臣と風景地保護協定を締結していることその他一定の要件を満たすものは、物納劣後財産に該当しないものとして取り扱います。
(4) 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。
出典:国税庁「No.4214相続税の物納 2物納の要件」
(最終アクセス2021年12月2日)
物納は物で税金を納めるという非常に特殊な納税方法で相続税についてのみ認められています。しかし、国税庁はできるだけ現金で納めてほしいと考えているのでハードルは高いです。不動産を物納する場合、譲渡所得税は課税されません。また、買手を探さなくてよいこともメリットといえるでしょう。ただし、不動産の価値は相続税評価額となります。不動産の売買価格が相続税評価額よりも高い場合には売却をされた方がよいかもしれません。
物納の場合、物納が認められそうなのか、物納と売却とでどちらの方がよいのかなど様々なシミュレーションが必要になります。物納をご検討の場合は早めに専門家にご相談・ご依頼されることをお勧めいたします。