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土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

2021.03.24

新制度!土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価って?

はじめに

近年、気候変動による平均気温の上昇や降水量の増加によって、自然災害リスクが増大しています。2018年の西日本豪雨や、2019年の台風被害、昨年7月の九州北部豪雨などは、記憶に新しいのではないでしょうか。このような豪雨や台風の増加に伴い増えているのが、土砂災害です。これを受け、土地の相続税評価について見直しが行われ、「土砂災害特別警戒区域内にある宅地」については、評価減の対象となりました。
今回は、土砂災害特別警戒区域内にある宅地の相続税評価についてご紹介します。

土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価

評価減の概要

土砂災害の危険性のある土地には、①土砂災害警戒区域と②土砂災害特別警戒区域の2種類があります。

「土砂災害特別警戒区域内にある宅地」として評価の減額が可能になるのは、その名の通り、①の中でも、②の土砂災害特別警戒区域にある宅地に限られています。

それでは、①と②の違いはどこにあるのでしょうか。

まず、①土砂災害警戒区域とは、土砂災害が発生した場合、住民の生命・身体に危害が生ずるおそれがあると認められるため、災害情報の伝達や避難が早くできるよう、区市町村によって警戒避難体制の整備が図られる地域のことを指します。
この地域は、イエローゾーンとも呼ばれ、後にご紹介するハザードマップ上でも黄色で示されています。

一方、②土砂災害特別警戒区域は、①のうち、建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる地域のことを指します。
この地域は、レッドゾーンとも呼ばれ、後にご紹介するハザードマップ上でも赤色で示されています。①との違いは、この、土砂災害特別警戒区域内にある宅地は、一定の開発行為の制限や居室を有する建築物の構造規制が義務付けられるというところです。

今回の減額制度は、この制限や規制を考慮して設けられているため、②の土砂災害特別警戒区域にある宅地にのみ適用可能となります。

近年、自然災害の増加により、②の土砂災害特別警戒区域に指定される土地の件数が増加していることを受け、平成31年1月1日以降の相続開始案件から、相続の対象となる土地が、この土砂災害特別警戒区域内に存する場合は、評価額を減額することが出来るようになりました。

評価方法

全体の地積(土地面積)に対する土砂災害特別警戒区域の地積の割合に応じて、以下の表に記載の補正率を適用することで評価額が減額されます。

【補正率表】

国税庁のHPで紹介されている以下の具体例を用いて考えてみましょう。

上図より、①総地積に対する②特別警戒区域となる部分の地積の割合は以下の通りです。
100㎡/400㎡=0.25
これを上の補正率表と照らし合わせると、補正率は0.9となります。
これをもとに評価額を計算すると、
路線価100,000円×奥行価格補正率1.00×特別警戒区域補正率0.9×地積400㎡
=36,000,000円
となり、本来の評価額より10%の減額となります。

※前の記事でご紹介した、がけ地補正率の適用がある場合においては、補正率表により求めた補正率にがけ地補正率を乗じて得た数値を特別警戒区域補正率とします。
ただし、その最小値は0.50となります。

調べ方

相続の対象となる土地が土砂災害特別警戒区域に指定されているかどうかは、国土交通省のハザードマップポータルサイトや、東京都建設局や各市町村のホームページ等で確認することが出来ます。
例として、東京都千代田区のハザードマップを見てみましょう。

黄色で塗られている部分がイエローゾーン、すなわち土砂災害警戒区域で、赤色の部分が
レッドゾーン、すなわち土砂災害特別警戒区域となります。

どなたでも簡単に確認することが出来ますので、その他の災害のリスクを知るためにも、是非一度、調べてみてはいかかでしょうか。

まとめ

今回は土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価減についてご紹介させていただきました。対象となる土地は平成31年1月1日以降相続開始のものからとなり、土砂災害特別警戒区域内にある土地であれば、実際に被害に遭っていなくても評価減を適用することが出来ますので、今後ご自身が相続される土地が評価減の対象となるかどうか、調べておきたいところです。
ただ、概要でも述べた通り、土砂災害の危険性がある土地でも、レッドゾーンにあたる地域でなければ、減額の対象とならないなど、土地の相続税評価には要件も多く、非常に複雑です。減額制度を正しく適用出来ないことによって払う必要のない税金を払うことを防ぐためにも、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

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