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2022.03.11

小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等とは?詳しく解説していきます!

小規模宅地等の特例とは、相続開始の直前に亡くなった方が住んでいた土地や事業を行っていた宅地、貸していた土地について、一定の要件を満たす場合に50%~80%の大幅な評価減が認められる特例のことをいいます。小規模宅地等の特例には4つの種類がありますが、今回は、そのうちの特定事業用宅地等について詳しく解説します。

特定事業用宅地等とは?

特定事業用宅地等とは、被相続人等が個人事業を営んでいたときの事業用の土地(例えば、事務所や工場、倉庫など)のことを指します。特定事業用宅地等の特例を適用することにより、土地の評価額を80%減額することができるため、相続税を節税できるというメリットがあります。事業のうち不動産貸付業等については貸付事業用宅地等に該当するため50%減額となります。

小規模宅地等の概要について詳しくはこちらをご覧ください。

特例の併用ができる

特定事業用宅地等の特例は、他の小規模宅地等の特例と併用することができます。どの特例と併用するかによって限度面積が異なってきます。


引用:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)2 減額される割合等

利用状況に応じた「特定事業用宅地等の特例」適用要件

特定事業用宅地等の特例の適用には、以下のように利用状況に応じてそれぞれ事業承継要件、保有継続要件という要件があります。


引用:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)3 特例の対象となる宅地等
適用要件について、被相続人が花屋を営んでいた場合を例にとって考えてみます。

①被相続人の事業の用に供されていた宅地等

上記の表に当てはめると、事業継続要件は、取得した親族が申告期限までに「被相続人の事業」である花屋を引き継ぎ、且つ、その事業を申告期限まで継続して営んでいること、保有継続要件は、その宅地等を相続税の申告期限まで継続して保有していることです。

②被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた宅地等

このケースでの事業継続要件は、取得した親族が被相続人と生計を一にしており、相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を「自らの事業」の用に供していること、保有継続要件は、相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を保有していることです。
上記どちらのケースにも共通して、「相続税の申告期限までは相続した土地を保有し続けること」、「また事業を続けること」の2点が重要となってきます。

2つのケースの主な違い

①は取得者が「被相続人の行っていた事業」、つまり花屋をそのまま継続しなければならないのに対し、②は、生計を一にしていた親族は「自らの事業」であれば良いので、カフェなど、他の事業へ転業することも可能です。(ただし、不動産貸付事業への転業は不可)。

①の場合、転業してしまうと特例の適用が出来なくなりますので注意が必要です。

特例を受ける取得者の適用要件

取得者について、①の被相続人の事業の用に供されていた宅地等については、相続又は遺贈により取得した被相続人の親族のうち事業を承継する親族であれば、どなたが取得しても小規模宅地等の特例を適用可能です。
(事業を承継する者と宅地の取得者が異なる場合には適用不可)

一方で、②の被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた宅地等については、被相続人と生計を一にしていたその親族本人が取得しなければ、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。

限度面積と減額割合、評価額の計算方法

限度面積と減額割合は以下の通りです。
限度面積:400㎡
減額割合:80%

面積が400㎡を超える宅地の場合は、そのうちの400㎡までの部分に関して80%の減額が可能です。

特定事業用宅地等の評価額の計算方法

  1. 宅地の評価額が1,000万円、面積が300㎡の場合
    →300㎡≦400㎡のため、土地全体に対して減額することができます。
    したがって、1,000万円×80%=800万円が減額となります。
  2. 宅地の評価額が1,000万円、面積が500㎡の場合
    →500㎡≧400㎡のため、400㎡までが減額の範囲となります。
    したがって、1,000万円×400㎡/500㎡×80%=640万円が減額となります。

小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等の申請手続き

小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等の適用を受けるためには、相続税の申告が必要です。相続税の申告書に、この特例を受けようとする旨を記載するとともに、いくつかの添付書類をつけて税務署に提出します。 必要な添付書類は以下の通りです。

  1. 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(コピー可)
  2. 図形式の法定相続情報一覧図の写し(コピー可)
  3. ※①か②はどちらか一方だけでも可。
  4. 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
  5. 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
  6. 申告期限後3年以内の分割見込書
  7. →申告期限内に分割ができない場合に提出が必要になります。
  8. 総務大臣が交付した証明書
  9. →一定の郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等の場合に必要となります。
参考:国税庁「(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類2(5)

「貸付事業用宅地等」以外でも特例が適用できないケースについて

特定事業用宅地等の特例が適用できる土地は、被相続人の事業に供されていた土地で、事務所や工場、倉庫などがこれに該当します。先に触れた通り、賃貸アパートや貸駐車場など、貸付事業の用に供されていた土地は、「貸付事業用宅地等」にあたり、今回の特例の対象外となります。しかしこれ以外にも、特例の対象外となるケースがあります。

相続開始前の3年以内に新たに事業の用に供された宅地等(以下、3年以内事業宅地等)については、一定の規模以上(※)の事業に該当する場合を除き、特例の対象外となります。ただし、平成31年4月1日から令和4年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、平成31年3月31日までに事業の用に供された宅地等については、3年以内事業宅地等に該当しないものとする経過措置があります。

※なお、上記の「一定の規模以上の事業」とは、次の算式を満たす場合におけるその事業をいいます。
(算式)下記の事業の用に供されていた一定の資産(※)のうち
被相続人等が有していたものの相続開始時の価額の合計額
/新たに事業の用に供された宅地等の相続開始時の価額≧15%

※上記の「一定の資産」とは、次に掲げる資産(当該資産のうちに当該事業の用以外の用に供されていた部分がある場合には、その事業の用に供されていた部分に限ります。)をいいます。
①その宅地等の上に存する建物(その附属設備を含みます。)又は構築物
②所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産でその宅地等の上で行われるその事業に係る業務の用に供されていたもの(上記①に掲げるものを除きます。)

引用:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)3 特例の対象となる宅地等 (1) 特定事業用宅地等

小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等における注意点

小規模宅地等の特例の特定事業用宅地等の適用を受けるためには、相続税の申告が必要となります。相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっていますので、申告期限までに申告書及び添付資料を提出しましょう。
また、被相続人の土地を引き継ぐ人が、きちんと要件に当てはまっているかどうかも確認することが大切です。
特定事業用宅地等の特例はそこまで要件は多くありませんが、被相続人の事業を引き継ぐ人と宅地を取得する人が別人など、要件を満たさない場合には特例の適用ができなくなってしまいますので注意が必要です。

事業相続や評価額は相続専門の税理士への相談がおすすめ

特定事業用宅地等の特例は、減額の割合が80%と大きいため、適用するかしないかで大きく評価額が変わってきます。しかし、事業承継が絡んでくることなど要件が複雑になっており、特例を適用した結果「相続税がゼロ」になる場合でも、相続税の申告が必ず必要になってきます。申告の際には詳細な土地評価資料も必要となり、ご自身で評価を行うのは荷が重い作業といえるでしょう。煩雑な手続きをご自身でされるよりも、相続専門の税理士に一度ご相談されることを強くおすすめします。

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まとめ

今回は、小規模宅地等の特例の対象となる特定事業用宅地等について解説いたしました。ひとくちに被相続人の個人事業といっても、不動産貸付事業は含まれないなど、正しい知識がないと適用することができない特例です。しかし、正しく適用出来れば、評価額を大幅に下げることも可能ですので、相続に精通した税理士にぜひ一度ご相談ください。

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