将来の相続税対策に対しての事前のアプローチ方法

2021.01.29

将来の相続税の申告納付を意識した具体的生前対策とは?

相続税の申告納付は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」であることは、皆様ご承知のことかと思いますが、この限られた時間の中で、相続人の方(受遺者の方を含みます。以下「相続人等」)は、相続税の申告書を提出し、相続税を納付しなければなりません。
相続人等の方が10か月以内に相続税の申告納付を完了させるためには、次の3つのポイントを意識することが重要です。
3つの意識しておきたいポイントとは、「評価」「分割」「納税」にあるのではないかと考えます。
相続税の専門家ではない相続人等の方が、10か月以内に相続税の申告納付を「評価」「分割」「納税」を意識しながら進めることは、なかなか難しいでしょう。

相続税の専門家の立場としましても、相続税の申告業務等のご依頼を申告納付期限まで10か月残している状態でご依頼を頂くことはございません。

そこで今回は、「評価」「分割」「納税」を意識した生前対策としてどのようなことが考えられるのか見ていきましょう。

「評価」へのアプローチ方法は?

相続税は「相続税評価額の合計額(プラスの財産―マイナスの財産)」に対して課税されるので、課税対象となる「相続税評価額」を生前に下げられるのであれば、下げておきたいものです。

下記に一般的な相続税の節税対策を列挙しましたので、ご参照下さい。

<一般的な相続税の節税対策として考えられるもの>
  • 生前贈与による被相続人から相続人への資金移動
  • 不動産購入・投資や自宅の増改築・貸家の建築など不動産の有効活用
  • 現時点での土地の詳細評価の算定
  • 生命保険契約へ加入することによる非課税措置の活用
  • 養子縁組による基礎控除の拡充

「分割」へのアプローチ方法は?

<遺言書の作成>
故人の最期の遺志表示をすること、相続手続きをスムーズに進めること、相続争いが起きないようにすることを考慮しますと「遺言書」を作成しておくと安心です。

<遺産分割シミュレーション表の作成>
遺言書がない場合には、遺産分割協議をすることとなりますが、遺産分割協議は相続人全員の合意により確定することなので、当然1日で決まるようなことではありません。

相続税評価額の全体を確定させるのに時間がかかる場合には、申告期限まで残り数ヶ月の段階で遺産分割協議をスタートさせることも多いです。

そこで、相続開始前に「誰が、①どの財産を取得する、②金額にしていくら分取得する、③割合にして何%くらい取得する、その場合の各人の相続税がどのくらいになるのか」をエクセル表などにまとめておくと、実際の遺産分割協議の土台とすることができるので、非常に便利です。簡易的なもので構いませんので、遺産分割シミュレーション表を作成しておくことをお勧めします。

「納税」へのアプローチ方法は?

相続税の納税は「金銭で一括納付」が原則となります。
まずは、概算で構いませんので、相続税の総額がどのくらいになるのかを算定し、相続により取得する金融資産で、納税資金を確保できるのかどうかを確認しましょう。

相続税を相続により取得する金融資産で賄えるのであれば安心ですが、賄えない場合には何かしらの手を打たなければなりません。

具体的には・・・
  1. 居住用以外に不動産があるのであれば、売却し、納税資金を確保する
  2. 金融機関に相続税納税の為の融資を受けるか検討する
  3. 延納(分割払いで納税する)・物納(モノで納税する)申請をするか検討する
但し、1~3について、相続人等自身で判断することも手続きをすることも非常に難しいので、「相続税額≧相続金融資産」となりそうな方は、事前に相続税の専門家にご相談されることをお勧めします。

まとめ

「評価」「分割」「納税」に於けるポイント点について、確認してまいりました。どのテーマを見てみましても、相続税の専門家でない相続人等になりうる立場の方が、実際に行動に移すには難しい部分も多くあるかと思います。
ご心配なことやご興味のある項目がございましたら、税理士法人NCPにご相談下さい。

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