教育資金の一括贈与はいつまで?非課税制度終了後の対応についても解説

2026.01.26

教育資金の一括贈与制度は、子どもや孫の教育資金を非課税で一括贈与できる利用しがいのある制度です。ただし、要件や利用方法が細かく設定されているため注意も必要です。本記事では、教育資金の一括贈与について解説します。

教育資金の一括贈与に係る非課税制度はいつまで?

教育資金の一括贈与制度とは、祖父母や父母から子や孫など直系尊属へ教育資金を一括贈与する場合、贈与額の最大1,500万円まで贈与税が非課税となる制度のことです。教育資金の一括贈与制度は、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間の特例とされています。

この非課税枠1,500万円は、子や孫などの受贈者一人当たりの金額であり、複数の直系尊属から贈与を受けた場合でも、受贈者一人当たりの非課税枠は1,500万円までとなります。
尚、贈与回数は1回に限定されていないため、1,500万円の範囲内であれば、複数回の贈与であっても適用可能です。
この非課税制度の適用を受けるためには、取扱金融機関にて教育資金口座の開設等を行い、信託や預入などをする日までに、その口座の開設等を行った金融機関を経由して、受贈者の納税地の所轄税務署長に教育資金非課税申告書の提出等をしなければなりません。

教育資金の一括贈与の適用要件

  1. 受贈者
    子・孫(教育資金等管理契約を締結する日において30歳未満、所得要件:前年の合計所得金額 1,000 万円以下)
  2. 贈与者
    祖父母や父母など受贈者の直系尊属であること(養父母は含まれます)
  3. 取扱金融機関
    信託会社、信託業務を営む金融機関(信託銀行)、銀行、金融商品取引業者
  4. 贈与財産
    信託会社、信託業務を営む金融機関・・・信託受益権
    銀行等・・・金銭
    金融商品取引業者・・・金銭、金銭に類する有価証券
  5. 教育資金管理契約
    この特例は、長期間にわたる管理が必要になるため、金融機関に口座を開設し、その口座を通じて非課税額の管理、実際に教育資金に使われた金銭の管理を行うことが必須となっています。そのため、金融機関との間で一定の契約を締結することになります。これが「教育資金管理契約」です。各取扱金融機関に必要な契約書が準備されています。

非課税の対象となる教育資金

非課税の対象となる教育資金とは、以下のような金銭を指します。

  • 学校等に対して直接支払われる金銭
  • 学校等以外に対して直接支払われる金銭

それぞれ非課税限度額が異なるため注意が必要です。

参考:国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

学校等に対して直接支払われる金銭

① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
② 学用品費、修学旅行費、学校給食費など
※非課税限度額は1,500万円までとなります。

「学校等」とは

  • 学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校、大学などの各種学校
  • そのほか国内外にある外国の教育施設 など
  • 認定こども園または保育所 など

学校等以外に対して直接支払われる金銭

学習塾や水泳教室などに直接支払われるもの

③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務提供または④の指導で使用する物品の購入に要する金銭

上記以外(物品の販売店など)に支払われるもの

⑥ ②に充てるための金銭であって,学校等が必要と認めたもの
⑦ 通学定期券代

※社会通念上相当と認められるものが対象で、非課税限度額は500万円です。

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教育資金の一括贈与を利用するメリット

教育資金の一括贈与を行うメリットは以下のとおりです。

年間110万円以上の教育資金を“事前に一括で“贈与できる

用途が決まっておらず年間110万円以上を贈与した場合、贈与税が課税されます。
教育資金に充てるために年間110万円以上の額を事前に一括で渡したいというニーズがある方は、教育資金の一括贈与制度を利用するメリットがあります。

贈与財産の使用用途を教育資金に限定できる

贈与財産を教育資金にのみ使用してほしいというニーズがある方にも、教育資金の一括贈与制度を利用するメリットがあります。
教育資金の一括贈与制度を利用した場合、教育資金口座からの払い出しには金銭の領収書を金融機関に提出する必要があります。
そのため、使用用途を教育資金に限定することが可能となり、資金を適切に管理できます。

教育資金の一括贈与を利用する流れ・手続き

教育資金の一括贈与を利用するための手続きの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 金融機関で教育資金用の口座を開設する
  2. 教育資金非課税申告書を、口座を開設した金融機関に提出する
  3. 贈与者が教育資金専用の口座へ預入を行う
  4. 教育資金の領収書・請求書などを金融機関に提出し、教育資金を引き出す

詳しくは、国税庁のHPや、口座開設を行う金融機関のHPをご参照ください。
国税庁 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税に関するQ&A
教育資金非課税申告書

教育資金の一括贈与を利用する際の注意点

制度を利用する際の注意点は主に以下の2点が挙げられます。

贈与者が死亡した場合

残額が相続税の課税対象となる場合があります。

贈与者が教育資金管理契約の終了の日までに亡くなった場合、(その贈与者が亡くなる3年以内に受贈者がこの規定の適用を受けた場合に限ります。)亡くなった日における教育資金の一括贈与の残額は、受贈者が贈与者から相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
ただし、贈与者が亡くなった日において、受贈者が以下のいずれかに該当するときはこの取り扱いを受けません。

  • 23歳未満である場合
  • 学校等に在学している場合
  • 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

尚、上記は平成31年4月1日以降の贈与について適用されます。
それ以降亡くなった日付により適用が異なるため注意が必要です。

教育資金管理契約が終了する場合

以下の場合は制度の利用が終了し、拠出額から教育資金支出額を控除した残額は契約が終了した年の贈与税の課税対象になります。

教育資金管理契約は次の事由の区分に応じて、それぞれの日のいずれか早い日に終了します。

① 受贈者が30歳に達した場合(当該受贈者が学校等に在学している場合、当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合を除く)
 →30歳に達した日

② 受贈者(30歳以上)が、学校等に在学した日、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講した日を、取扱金融機関の営業所等に届け出なかった場合
 →その年の12月31日

③ 受贈者が40歳に達した場合
 →その受贈者が40歳に達した日

④ 受贈者が死亡した場合
 →その受贈者が死亡した日

⑤ 教育資金管理契約に係る金銭・信託財産の残高がゼロとなった場合において、契約を終了させる合意があったとき
 →その教育資金管理契約が合意に基づき終了する日

制度終了後(令和8年4月以降)の対応方法

教育資金の一括贈与制度は、当初は時限措置として導入され、その後数回の延長を経て、現在は令和8年3月31日まで適用されることになっていますが、政府・与党はこの期限からの延長は行わず、制度を終了させる方向で検討を進めています。
制度終了後、非課税措置は原則終了となり通常の贈与税のルールが適用されますので、そのことを理解したうえ計画的な資金準備が必要となります。

制度終了後にも活用できる主な生前対策

ここでは制度終了後にも活用できる主な生前対策を2つ挙げていきます。

暦年贈与

1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)について贈与税額を計算し納税する方法です。基礎控除額の枠である110万円以内であれば贈与税は非課税のため、複数年にわたり計画的に贈与を行うことで、非課税のまま相続財産を贈与していくことができます。

相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税は、贈与者が60歳以上の父母・祖父母、受贈者が18歳以上の子・孫などの場合が対象となります。贈与財産が2,500万円までは贈与税が非課税となり、これを超えた部分は一律20%の贈与税が課税されます。
贈与者が亡くなったときには、その贈与財産の贈与時の価額を相続財産に加算し相続税で精算されます。
また令和6年1月より年間110万円の基礎控除が新設され、この範囲内の贈与は相続財産への加算がされなくなりました。
ただし、一度この制度を選択してしまうと、同じ贈与者から受贈者への贈与を暦年贈与に戻せなくなります。

教育資金の一括贈与に関するよくある質問

教育資金管理契約を途中解約することは可能ですか?

一度契約してしまうと資金をすべて払い出した場合を除き、途中解約はできません。また、資金を受贈者に戻すことはできないため、贈与者、受贈者の年齢や実際にかかる教育資金の予定を鑑みて契約を判断されることが肝要です。

教育費に認められるかの判断はどこでできますか?

判断がつかない支出については、文部科学省HPや、同HP掲載の「領収書に関するチェックツール」などをご参照ください。
文部科学省「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」
「領収書に関するチェックツール」

まとめ

教育資金の一括贈与制度は非常に利用価値のある制度ですが、その手続きや要件はやや複雑です。また、時限的措置でもあるため制度終了後のことも考え、税務上の取り扱いをよく知っておく必要があります。
教育資金の一括贈与制度の利用をするか否かは、1度税理士に相談することをおすすめします。税理士法人NCPでは「士業たるや究極のサービス業なり」を肝に銘じ、親切・丁寧な対応を心掛け、お客様に安心してお手続きを進めていただけるようお手伝いをしています。
ぜひ税理士法人NCPにご相談ください。

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