教育資金の贈与を受ける際に注意すべき点とは?

2021.02.25

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税について

概要

直系尊属(祖父母や実親)から子や孫へ教育資金を一括贈与する場合、贈与額の1,500万円までは、贈与税が非課税となります。この非課税枠1,500万円は、受贈者一人当たりの金額です。複数の直系尊属から贈与を受けた場合でも、受贈額の合計額のうち非課税枠は1,500万円までとなります。
贈与回数は1回に限定されていないため、1,500万円の範囲内であれば、複数回の贈与であっても適用可能です。
この制度は平成25年4月1日から令和3年3月31日までが適用期間とされています。
(現行)

適用要件

  1. 受贈者
    →個人であり、教育資金管理契約を締結する日において30歳未満の者であること
  2. 贈与者
    →受贈者の直系尊属であること
  3. 取扱金融機関
    →信託会社、信託業務を営む金融機関(信託銀行)、銀行、金融商品取引業者
  4. 贈与財産
    →信託会社、信託業務を営む金融機関・・・信託受益権
    →銀行等・・・金銭
    →金融商品取引業者・・・金銭、金銭に類する有価証券
  5. 教育資金管理契約
    →この特例は、長期間にわたる管理が必要な制度ですので、金融機関に口座を開設し、その口座を通じて非課税額の管理、実際に教育資金に使われた金銭の管理を行うこととなっています。
    そのため、金融機関との間で一定の契約を締結することとなります。これが「教育資金管理契約」です。各取扱金融機関に必要な契約書が準備されています。

贈与者が死亡した場合

贈与者が教育資金管理契約の終了の日までに亡くなった場合(その贈与者が亡くなる3年以内に受贈者がこの規定の適用を受けた場合に限ります。)には、受贈者については、受贈者が亡くなった日における結婚・子育て資金の残額を贈与者から相続したものとみなし、相続税の課税対象となります。
ただし、贈与者がなくなった日において受贈者が、以下のいずれかに該当するときはこの取り扱いを受けません。
  1. 23歳未満である場合
  2. 学校等に在学している場合
  3. 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
※平成31年(2019年)4月1日以降の贈与について適用されます。それ以前に贈与を行っている場合は、3年以内に贈与が発生しても影響ありません。

教育資金管理契約が終了する場合

教育資金管理契約は次の事由の区分に応じてそれぞれの日のいずれか早い日に終了します。
  1. 受贈者が30歳に達したこと(当該受贈者が学校等に在学している場合、当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合を除く)
    →30歳に達した日
  2. 受贈者(30歳以上)が、学校等に在学した日、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講した日を、取扱金融機関の営業所等に届け出なかった場合
    →その年の12月31日
  3. 受贈者が40歳に達した場合
    →その受贈者が40歳に達した日
  4. 受贈者が死亡した場合
    →その受贈者が死亡した日
  5. 教育資金管理契約に係る金銭・信託財産の残高がゼロとなった場合において、契約を終了させる合意があったとき
    →その教育資金管理契約が合意に基づき終了する日

手続きについて

銀行などの金融機関に教育資金の専用口座を開設し、その口座に資金を一括で入金します。そして、口座を開いた銀行を通じて「教育資金非課税申告書」を税務署に提出します。
口座にあるお金を引き出したい時には、銀行に対して教育費用の支払い請求と領収書等を提出する必要があります。

まとめ

教育資金の一括贈与の特例は、とても利用しがいのある制度となっていますが、その手続きはやや複雑です。
手続きは取扱金融機関となりますが、税務上の取扱いを知っておく必要がありますので、興味があるのであれば、当該制度の利用をするか否かは、1度、税理士に相談することをおすすめします。

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