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債務控除

2021.11.19

相続財産から控除できる債務・控除できない債務はどう違う?

相続税の債務控除

相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金や未払金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。これを「債務控除」といいます。債務控除の対象となるものには、債務と葬式費用がありますが、今回はそのうちの債務について、どのようなものが債務控除の対象となり、どのようなものが対象外となってしまうのか、簡単にご紹介していきたいと思います。

相続財産から控除できる債務

相続財産から控除できる債務は、被相続人が亡くなったときにあった債務で確実と認められるものに限られます。
具体的にはどのようなものがあるのか、大きく2つに分けてご紹介していきます。

借入金

まず1つ目は、借入金です。債務控除の対象となる借入金は、銀行などの金融機関や個人など、第三者からの借入金です。
これらは被相続人が亡くなった時にあった債務で確実と認められるものに該当するため、相続財産から控除可能です。

未払金

2つ目は、未払金です。ひとくちに未払金といっても、いくつか種類がございますので、種類ごとに簡単にご紹介します。

(1) 公租公課
① 所得税・消費税
被相続人が年の途中で亡くなった場合、4か月以内に所得税の準確定申告する必要があります。また、被相続人が消費税の課税事業者であった場合は、同様に、亡くなってから4か月以内に消費税の準確定申告をする必要があります。
この際、所得税や消費税の納付が必要な場合は、相続人が納付することになります。しかし、これらの税額は、被相続人の所得等に基づき算定されるものであるため、本来は被相続人が負担すべきものです。そのため、債務控除の対象となります。
しかし、この申告や納税に関する加算税や延滞税などの付帯税に関しては、相続人の事情によるものであるため、債務控除はできませんので注意が必要です。

② 住民税・固定資産税
住民税はその年の1月1日(課税期日)時点で住民票がある市区町村から、前年の所得に応じて課税され、固定資産税は、その年の1月1日(課税期日)時点の不動産の所有者に対して課税されます。そのため被相続人が亡くなった年度の住民税・固定資産税は、納期に関わらず債務控除の対象となります。なお、年の途中で被相続人が亡くなり、その時点で被相続人本人が支払い済みのものに関しては、債務控除の対象にはなりません。

(2) 医療費・介護費用・公共料金
被相続人が亡くなる直前に病院で治療を受けたり、入院したりしている場合や、介護施設等に入所している場合に、亡くなった後にそれらの費用を相続人が支払った場合は、債務控除の対象となります。
また、被相続人が生前に使用していた期間の水道光熱費や電話料金などの公共料金を、亡くなった後に相続人が支払った場合も同様に債務控除の対象となります。

(3) 預かり敷金等
被相続人が個人事業を行っていた場合、亡くなった時の事業での買掛金や未払金、不動産の賃貸をしていた場合に借主から預かっている敷金などは、本来被相続人本人が負担しなければならないもののため、債務控除の対象となります。

(4) その他
上記3つの未払金に該当しないもので、被相続人が生前に使用したクレジットカードの未払い分や、生前に購入した商品等の代金で未払となっているものも債務控除の対象となります。

相続財産から控除できない債務

ここまで、相続財産から控除できる債務をご紹介してきましたが、以下のような債務は債務控除の対象とはならないため、注意が必要です。

(1) 団体信用生命保険の付された住宅ローン
住宅ローンは、通常金融機関からの借入金であるため、相続財産から控除できますが、団体信用保険の付された住宅ローンは、債務者である被相続人の死亡により支払われる保険金で、その債務が補填されることになるため、債務控除の対象とはなりません。

(2) 墓地や仏壇などの購入代金の未払分
墓地や仏壇などは非課税財産のため、そもそも税金がかかりません。そのため、これらの購入代金は債務控除の対象外となります。

(3) 被相続人の死亡に伴い発生する費用
被相続人が亡くなった後、遺産分割が決まるまでの諸手続きにかかる費用や、相続財産の維持管理にかかる費用、遺言執行のための費用などは、被相続人本人ではなく、相続人が負担すべき費用のため、債務控除の対象とはなりません。

まとめ

今回は、債務控除の対象となる債務、ならない債務について、簡単にご紹介しました。ひとくちに債務といっても、様々な種類があり、混同しやすいものもあります。ご遺族の方は、家族が亡くなって初めて知る債務等も出てくるかと思います。ここではご紹介しきれなかった債務控除を適用する際の細かな要件などもあり、本来控除できないものを控除して申告してしまうと、税務署からの指摘を受けてしまうことにも繋がりかねません。そのため、まずは一度専門家相談されることをおすすめします。

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