税務署のお尋ね書って?回答の要否についても解説します!

2021.12.03

お尋ね書とは?

お尋ね書とは、相続開始後10か月以内(多くの場合6~8か月後)に税務署から届く「相続税についてのお尋ね」という封書のことを指します。これは、いわゆる税務調査とは異なり、納税者自身に申告が必要かどうかを確認してもらい、申告を促す目的で税務署が送る行政文書です。今回は、この「相続税についてのお尋ね」について、ご紹介します。

人が亡くなり、役所に死亡届が提出されると、その情報が税務署にも通知されます。通知を受けると、税務署は亡くなった方の財産について調査を進めていき、その人に一定以上の財産があると判断した場合に、「相続税についてのお尋ね」を送ります。

では、「相続税についてのお尋ね」が届いたら、絶対に回答しなければならないのでしょうか。実は、そんなことはありません。次項で詳しく解説していきます。

お尋ね書には何を書く?

「相続税についてのお尋ね」は封書で届き、中に「相続税の申告要否検討表」という用紙が入っています。「相続税の申告要否検討表」には、以下のような内容を記載します。これらは相続税の申告書に記載する内容とほぼ同じで、やや簡略化したものになります。
  1. 被相続人の住所、氏名、生年月日、死亡日、職業
  2. 相続人の人数、続柄
  3. 被相続人が保有していた不動産の情報
  4. 被相続人が保有していた金融資産の情報
  5. 被相続人の死亡によって受け取った保険金・死亡退職金の金額
  6. 被相続人が保有していたその他の財産についての情報
  7. 被相続人から生前贈与を受けた人の氏名、贈与財産の種類、金額
  8. 被相続人の負債、未払税金、葬式費用等の金額
  9. 相続財産の概算

回答は必須?

「相続税についてのお尋ね」が届いたら、どうすればよいのでしょうか。

お尋ね書が届いたからといって、不正や脱税を疑われているわけではありませんので、過度に心配する必要はありません。一定以上の財産を所有しているという判断を下されている以上、回答するに越したことはありませんが、しなくても良い場合もありますので、状況に合わせた対応をご紹介します。

①すでに税理士に相談している場合→回答しなくても良い
すでに税理士に相談している場合は、お尋ね書は回答しなくても問題ありません。税理士に相談しているということは、お尋ね書が届く前に、既に申告の準備を進められているということです。お尋ね書は、申告を促すための書面ですので、申告書の提出をもって回答とみなされます。そのため、「相続税についてのお尋ね」自体には回答しなくても問題ありません。

②税理士に相談していない場合→内容に従って一度記載・試算してみる
税理士に相談していない場合は、一度ご自身で内容に従って記載・試算されてみることをおすすめします。お尋ね書が送られてくるタイミングは、おおむね相続開始から6~8か月後です。お尋ね書が来てから内容に従い記載、試算を行って税理士に相談することも可能です。
ただし、そのタイミングで相続税の申告が必要になることがわかると、そこからは申告期限までにかなり急いで準備を迫られることになりますので、可能であればお尋ね書が来る前に予めご自身である程度財産内容を把握し、試算されておいたほうがスムーズです。それが難しいようであれば、早めに税理士に相談されることをおすすめします。

③相続税が発生しない場合→回答したほうが良い
税理士に相談していてもしていなくても、お尋ね書が送られてきた時点で相続税が発生しないことがわかっている場合は、お尋ね書に回答されることをおすすめします。お尋ね書が送られてきたということは、税務署は相続税が発生する可能性があると判断しているということになります。
もしも発生しないことがはっきりしている場合には、回答することで相続税が発生しないことを証明することができますので、回答されたほうがよいでしょう。

まとめ

今回は、お尋ね書について解説しました。税務署から突然書類が届くと、不安になってしまう方もおられるかと思います。前述のように、お尋ね書への回答は必須ではありません。

ただし、税務署は亡くなった方の財産をある程度調査し、おおよその財産額を把握した上でお尋ね書を送ってきています。そのため、相続税申告が必要なのに無視したり、課税されたくなくて虚偽の回答をしたりしてしまった場合、後に税務調査に入られてしまうリスクがあります。また、税務調査で、財産を故意に隠していたと判断された場合には、重加算税をとられてしまうケースもあります。申告の要否を正確に検討し、様々なリスクを回避するためにも、一度相続専門の税理士に相談されることをおすすめします。

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