兄弟(姉妹)が相続人になる場合、相続税はどうなる?
2021.12.15兄弟(姉妹)が相続人になるとき
民法において、誰が優先的に相続できるかその順位(相続順位)が決まっています。常に相続人:被相続人の配偶者
第1順位:子供(直系卑属)
第2順位:親(直系尊属)
第3順位:兄弟姉妹
被相続人に子供・孫・親・祖父母がいなかった場合、被相続人の兄弟(姉妹)が相続人となります。兄弟(姉妹)が相続人になる場合と、配偶者や子供が相続人になる場合では異なる点があるので、その注意点について解説していきます。
注意点
兄弟姉妹が相続人の場合、下記に示すような注意点があります。兄弟(姉妹)には遺留分がない
被相続人が遺言書を作成していた場合、基本的にその遺言書通りに財産を分けていくこととなりますが、その遺言内容によっては相続人が全く財産を受け取れなくなってしまうおそれがあります。このような不利益を被らないために、「一定の相続人」に対し最低限の遺産の取り分(遺留分)が民法で定められており、もしも遺言の内容がこの遺留分を侵害している場合には、その侵害部分について請求することができます。しかし、この「一定の相続人」には兄弟(姉妹)は含まれておらず、兄弟(姉妹)には遺留分はありません。そのため、兄弟(姉妹)のみが相続人で、被相続人の遺言書に「内縁の妻に全ての財産を渡す」と書かれていた場合には、兄弟(姉妹)は何も財産を取得することができないこととなります。
代襲相続は1回のみ
代襲相続とは、被相続人が死亡したときに本来相続人となるはずの人が既に死亡していた場合に、その死亡した人の子供などが代わりに相続することをいいます。具体的に以下の図で見てみます。例えば、被相続人Aが亡くなった際、子Bも孫Cも既に亡くなっていた場合には、その下のひ孫Dが代襲相続をします。兄弟(姉妹)の相続では、相続人の兄弟が先に亡くなっていた場合、その子供(甥姪)が代襲相続をしますが、その子供(甥姪)も既に亡くなっていた場合には相続人の兄弟の孫が再代襲をすることはありません。兄弟(姉妹)相続の代襲相続は1回のみです。
相続税額の加算(2割)の対象になる
相続税を納める人が、被相続人からみて「配偶者、一親等の血族」以外の人の場合は、その人の相続税額が2割増しになります。兄弟(姉妹)は被相続人からみて二親等の血族となるので、この相続税額の加算(2割)の対象となります。具体的に見てみましょう。上図の相続関係で課税価格が1億円の場合、相続税の総額は710万円となります。
①課税価格 1億円
②基礎控除額 3,000万円+600万円×3人=4,800万円
③課税遺産総額 ①-②=5,200万円
④相続税の総額 A 5,200万円
B(5,200万円×1/8×10%)×2人=130万円
C A+B=710万円
この場合において、各相続人が法定相続分ずつ財産を取得するときは、各相続人の納付税額は次のようになります。
妻Bの納付税額 710万円×3/4=532.5万円
→配偶者の税額軽減で納付税額は0円に
兄Cの納付税額 710万円×1/8=88.75万円
→88.75万円×1.2(2割加算)=106.5万円
甥Eの納付税額 710万円×1/8=88.75万円
→88.75万円×1.2(2割加算)=106.5万円
2割加算されてしまうのは残念ですが、「一親等の血族及び配偶者以外の方が相続財産を受け取るのは偶発性が高い」という理由から、相続税の負担の均衡を図るためにこの制度が設けられているといわれています。
戸籍の収集が大変
ご相続があった場合、相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て取得しなければなりません。さらに、兄弟(姉妹)相続の場合には次の戸籍も全て揃える必要があります。- 被相続人の両親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の一式
- 相続人となる兄弟(姉妹)が既に亡くなっていた場合、その兄弟(姉妹)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本の一式
まとめ
今回は、兄弟(姉妹)が相続人になる場合、相続税はどうなるか注意点を解説いたしました。兄弟(姉妹)相続の場合、戸籍の収集に手間がかかることや、税額計算が複雑になることを挙げましたが、遺産の分け方について揉めるといったトラブルもよく耳にします。こういったトラブルを避けるため「誰にどの財産をどのくらい渡す」のか遺言書を作成しておくとよいかもしれません。また、書き方によっては無効になってしまうこともあるので、遺言書の作成にあたっては専門家に依頼されることをお勧めいたします。
また、兄弟(姉妹)のみが相続人であったり甥姪のみが相続人であったりすると、各相続人の関係性が希薄で連携して手続きを進めること自体が大変という場合もあります。お手続きによっては専門家が間に入ることができる部分もありますので、兄弟(姉妹)相続でご不安な場合は是非、専門家にご相談・ご依頼ください。