借地権とは?種類やメリット・デメリット、注意点について解説!
2025.01.21
この記事では、借地権の種類や評価方法について解説します。
土地を所有している場合、土地が自らの財産であることは明白です。一方で、第三者から土地を借りている場合、借りていることが財産になるかは、分かりづらいものと思います。
今回は、第三者から土地を借りている方に相続が発生した場合について、どのような評価が必要になるか、解説していきます。
借地権とは?
借地借家法第2条1項において、借地権は次のように定義されております。借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。地上権については、民法第265条に次のように規定されております。
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。また、土地の賃借権については、国税庁ホームページにて、以下のように規定されております。
「土地の賃借権」は、民法第601条《賃貸借》に規定する賃貸借契約に基づき賃借人が土地(地下又は空間を含む。)を使用収益できる権利をいいます。したがって、借地借家法第2条に規定する借地権に限らず、土地の一時使用権も含みます。つまり、借地権とは、自宅など建物を所有することを目的として、土地の所有者である地主から土地を有償で借り、その土地を使用収益できる権利と解することができます。 引用:借地借家法 民法 地上権、土地の賃借権、使用貸借権の区分
借地権の種類
借地権には、次のとおり5種類があります。- 借地権(旧借地法、借地借家法(2から5までを除く。))
- 定期借地権(借地借家法第22条)
- 事業用定期借地権等(借地借家法第23条)
- 建物譲渡特約付借地権(借地借家法第24条)
- 一時使用目的の借地権(借地借家法第25条)
借地法(旧法)
「借地法(旧法)」に則った借地権を「旧借地権」と呼びます。平成4年7月以前の契約が対象です。契約期限は決まっていますが、更新することにより半永久的に借りることができるとされています。 木造などの非堅固建物の場合、存続期間は30年(最低20年)で更新後の期間は20年。鉄骨造・鉄筋コンクリートなどの堅固建物は60年(最低30年)、更新後の期間は30年です。借地借家法
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- 普通借地権 普通借地権は、契約更新によって期限の延長が可能です。地主は、正当な理由がない限り、土地を借りた人が望む限りは契約を更新する必要があります。 契約の存続期間は構造を問わず当初30年、合意の上での更新により1回目は20年、以降は10年となっています。当事者間の合意により、これよりも長い更新期間に設定もできるとされております(借地借家法第3条、4条)。 契約が終わる時に、土地の上に借りていた人が建てた建物がある場合、土地の持ち主に買い取りを請求することができます(借地借家法第13条)。 借地権の所有者である借地人は、借地借家法により守られており、強い権利を持っているとされております。
- 定期借地権
定期借地権とは、期間の定めがある借地権のことです。普通借地権と比較すると、土地の所有者の権利が強いといえます。定期借地権の場合、普通借地権のように契約期間の延長がなく、建物の買い取りを請求しない旨を書面によって定められます。
契約期間満了時に確実に土地が返還されるため、安心して土地を貸すことができると考えられています。
借地法(旧法)と借地借家法の比較表
借地権 構造 存続期間 最低期間 更新後の期間 旧法 非堅固建物(木造など) 30年 20年 20年 旧法 堅固建物(鉄骨・鉄筋コンクリートなど) 60年 30年 30年 借地借家法 建物の種類による区別はない 30年 30年 1回目:20年 2回目:10年 評価方法
普通借地権の相続税評価額は、下記算式により算定します。土地の自用地評価額×借地権割合借地権割合については、借地事情が似ている地域ごとに定められており、国税庁ホームページで路線価図や評価倍率表とともに確認できます。 参考:路線価図・評価倍率表 それぞれの借地権割合は、A90%・B80%・C70%・D60%・E50%・F40%・G30%です。 アルファベットの前の数字は、その道路に接する土地の1平方メートルあたりの路線価を千円単位で表しています。 例えば、400Dと表示されていたら、路線価は1平方メートルあたり40万円で借地権割合は60%という意味になります。下記の路線価図を参考にしてください。 (国税庁より)定期借地権については、国税庁ホームページに評価明細書がありますので、明細書に沿って評価を行います。 参考:国税庁 B2-9 定期借地権等の評価明細書
借地権付き物件のメリット
ここでは、借地権付き物件のメリットを解説します。土地の固定資産税・都市計画税の負担がない
土地の所有権は地主にあるため、土地に係る固定資産税等の支払いは必要ありません。 一方で、建物の所有権はあるため、建物に係る固定資産税等の支払いは必要となります。法律に守られており長期的に借りられる
借地権者が更新を請求した時は、建物がある限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新することになり、正当な理由があると認められる場合でなければ、地主は更新を拒絶できないとされております(借地借家法第5条、6条)。借地権付建物を購入する場合、所有権付建物より安く手に入る
土地と家屋を購入し所有権を得る場合に比べて、借地権付建物の方が土地の購入費用がないため、初期費用を抑えることができます。 権利金や地代の支払い金額・年数によっては、土地の購入費用よりも高くなる場合もあるので、必ずしも安くなるとはいえないという見解もあります。借地権付き物件のデメリット
借地権付き物件にはメリットが多い一方で、デメリットもいくつかあります。 以下で、借地権付き物件のデメリットを紹介します。地代の負担がある
毎月払いなど契約に基づき地主に対して地代を支払う必要があり、その支払いが相当の期間にわたって滞ってしまった場合、契約を解除される可能性があります。融資が受けづらい
土地を所有していないため、建物だけでは担保価値が低くみられる可能性があり、融資の基準を満たすことが難しい場合があります。更新時、建物の売却、増改築等の際に地主の承諾や費用(更新料、承諾料)が必要
契約更新時の更新料の支払い、建物の売却や増改築等の現況から変更を行う場合には、事前に地主の承諾、承諾料の支払いが必要になります。所有している場合と比べて、制約が多いと考えられております。借地権に関するよくある質問
借地権の相続は可能ですか?借地権は相続財産として扱われるため、相続することが可能となります。 借地権を相続する際には、他の財産と同様に相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、借地権を取得する人を決定します。 地主によっては、建物を利用(居住・賃貸等)している方を取得する人にしてほしいという要望がある場合があるので、事前に取得する人について、地主に確認する方がよいでしょう。地主が土地を売却した時はどうすればよいですか?地主が土地を売却した場合でも、借地権は基本的に保護されます。以下のポイントが重要です。- 借地権もしくは借地上の建物の登記 借地権の登記がされている場合、新しい地主に対しても借地権を主張できます。しかし、借地権の登記については、地主の協力を得る必要があるため難しい場合があります。 借地権の登記を行っていない場合でも、借地上に建物があり、その借地上の建物の登記を行っている場合には、第三者に対する対抗要件(借地権を主張できる要件。質問3にて解説)となります(借地借家法第10条)。 登記簿謄本(登記事項証明書)は、法務局にて確認できます。
- 借地契約の継続 対抗要件を具備している場合には、借地契約は新しい地主にも引き継がれます。
- 新しい地主との関係 借地権者は新しい地主に対して既存の契約に基づき地代を支払う義務があります。 また、契約内容について、新しい地主に確認を行いましょう。 借地権は法律によって保護されているため、地主が変わっても基本的な権利は維持されます。具体的なケースについては、専門家(弁護士や司法書士など)に相談することをおすすめします。
借地権の対抗要件とは何ですか?借地権を第三者に主張するための借地権の対抗要件とは、「登記」の有無となります。上記、質問2にも記載しておりますが、借地の対象となっている土地に地主の協力を得て借地権の登記を行う、もしくは、借地上の建物がありその建物の登記を行っている必要があります。地主の協力を得て、借地に借地権の登記を行うことは難しい場合があるので、借地上の建物の登記を行うことで対抗要件を満たしていることが多いようです。 具体的な手続きや詳細については、専門家に相談することをおすすめします。まとめ
土地の借地権は他の遺産同様に相続できます。 また、建物(所有権)は名義変更(相続登記)を行う必要がありますので注意が必要です。相続が「争族」となる前にぜひ税理士法人NCPへご相談ください。