小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地等とは?詳しく解説していきます!

2021.10.25

貸付事業用宅地等とは?

今回は、小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等について詳しく解説します。

貸付事業用宅地等とは、土地自体を第三者に貸したり、自分の土地の上あるいは借りている土地の上に自分で賃貸アパートを建てたりしている土地のことを指します。被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族が不動産貸付事業に使っていた土地は、貸付事業用宅地等の特例の対象となります。

利用状況と特例の適用要件について

貸付事業用宅地等の特例の適用には、利用状況に応じてそれぞれ以下のような要件があります。

①被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等
相続又は遺贈により取得した被相続人の親族が、被相続人の貸付事業を申告期限までに引き継ぎ、その宅地等を相続税の申告期限まで継続して保有し、且つその貸付事業を営んでいること

②被相続人と生計を一にしていた親族の貸付事業の用に供されていた宅地等
相続又は遺贈により取得した親族が、被相続人と生計を共にしており、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自らの貸付事業の用に供し、申告期限まで引き続きその宅地等を保有していること

上記どちらのケースにも共通して、相続税の申告期限が終了するまでは相続した土地を保有し続けること、また当該事業を続けることの2点が重要となってきます。
そのため、事業を継ぐ気はないからと取得してすぐに廃業したり、土地を売却したりすると小規模宅地等の特例対象から外れてしまうこともあるので注意が必要です。

取得者について

取得者について、①の被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等については、相続又は遺贈により取得した被相続人の親族であればどなたが取得しても小規模宅地等の特例を適用可能です。

一方で、②の被相続人と生計を一にしていた親族の貸付事業の用に供されていた宅地等については、被相続人と生計を一にしていた親族本人が取得しなければ、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。また、その親族と被相続人との間に地代又は家賃の支払いのやり取りがないことも前提条件として必要となります。

限度面積と減額割合

限度面積と減額割合は以下の通りです。

限度面積:200㎡
減額割合:50%

貸付事業の開始時期についての留意点

平成30年度の税制改正によって、平成30年4月1日から相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、貸付事業用宅地等の適用対象から除外されることになりました。つまり、平成30年4月1日以降に新たに貸付事業を開始した宅地等に関しては、3年以内に相続が発生してしまうと、小規模宅地等の特例を適用出来なくなってしまったのです。

ただし、平成30年4月1日から令和3年3月31日の間に相続が発生した場合については、従来の通り、3年以内の開始であっても特例の適用対象となるという経過措置が取られています。しかし、令和3年4月1日以降に発生した相続については、この経過措置の対象からも外れてしまうため、注意が必要です。

ちなみに、例外として、事業的規模、いわゆる「5棟10室基準」で本格的に賃貸事業が行われている場合には、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供した宅地等についても引き続き適用することが可能です。

まとめ

今回は、小規模宅地等の特例の対象となる貸付事業用宅地等について解説いたしました。貸付事業用宅地等の特例は、前回ご紹介した特定居住用宅地等の特例と併用することも出来るため、正しく適用すれば評価額をかなり下げることも可能です。複数の土地をお持ちの場合、どこの土地に特例を適用するかによっても評価額が変わってきますので、土地評価に詳しい専門家に一度ご相談することをおすすめします。

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