上場株式と投資信託の評価方法について詳しく解説!

2021.11.12

上場株式とは?

上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式のことです。
上場株式は、原則としてその株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格によって評価します。課税時期とは、被相続人が死亡した日や贈与を受けた日のことです。 上場株式の相続税評価額は以下の4つのうち最も低い価額となります。なお、最終価格とは、その日の最後についた取引価格のことです。
  1. 相続が発生した日の最終価格
  2. 相続が発生した月の最終価格の平均額
  3. 相続が発生した月の前月の最終価格の平均額
  4. 相続が発生した月の前々月の最終価格の平均額

相続が発生した日の最終価格がない場合

相続が発生した日が土曜、日曜、祝日の場合は、市場が休場しているため最終価格がありません。このような場合は相続が発生した日の前日以前又は翌日以後の最終価格のうち相続が発生した日に最も近い日の最終価格を相続が発生した日の最終価格とします。

権利落ちなどがある場合

権利落ちとは、権利確定日が過ぎて、その期の配当を受ける権利がなくなることをいいます。権利を受けたい場合は「権利確定日」の2営業日前までに購入する必要があります。
権利落ちした場合の最終価格については、一定の修正が必要になります。

気配相場等のある株式

気配相場等のある株式とは、以下の3つのことです。
  1. 日本証券業協会において、登録銘柄として登録された株式
  2. 店頭管理銘柄として指定された株式
  3. 公開途上にある株式
※評価方法
1,2:日本証券業協会の公表する課税時期の取引価格(高値と安値の双方がある場合にはその平均額)によって計算します。
3:公開価格で評価します。

貸付信託受益証券とは?

貸付信託とは、受託者が多数の委託者から信託契約によって受け入れた信託財産を、主に貸付や手形割引によって運用する貯蓄型の金融商品です。
貸付信託受益証券とは、貸付信託によって得られた利益を受け取る権利を示した有価証券をいいます。

貸付信託受益証券の評価方法

貸付信託受益証券は、株式のような流通性がなく、取引市場もないので、市場価格はありません。評価額は、その証券を発行した信託銀行などが被相続人の死亡の日または贈与を受けた日現在、すなわち課税時期現在で買い取るとした場合の買取り価格となり、次の算式で算定されます。

●元本の額+既経過収益の額-源泉所得税相当額-買取割引料
 =貸付信託受益証券の価額

証券投資信託受益証券とは?

証券投資信託の受益証券とは、投資信託運用会社が不特定多数の投資家から資金を集め、株式や債券等の有価証券に投資し、その運用によって得た利益の分配を受けることができる有価証券です。
主に証券会社等の販売会社を通じて投資家に販売されています。

貸付信託受益証券の評価方法

  1. 日々決算型の証券投資信託の受益証券の評価方法
    ●1口あたりの基準価額×口数+再投資されていない未収分配金(源泉所得税等控除後)-信託財産留保額及び解約手数料(消費税含む)

  2. 1.以外の証券投資信託の受益証券の評価方法
    ●被相続人の死亡日の1口あたりの基準価額×口数-被相続人の死亡日に解約請求等した場合の源泉徴収所得税等-信託財産留保額及び解約手数料(消費税含む)

まとめ

上場株式や投資信託の評価方法は種類や形態によって異なります。被相続人が複数の上場株式や投資信託を保有していた場合は注意が必要です。その金額が大きい場合には、評価ミスが相続税額に与える影響も大きくなるためです。遺産に上場株式や投資信託があった場合は、慎重を期して早めに税理士に相続税申告を依頼することをおすすめします。

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